ミュージックビデオの作り方

ミュージックビデオってどうやって作ってるのか?

キャリアの中でMVを800本くらい作ってきた経験を活かして、MV全般の作り方をわかりやすく体系化してみたいと思います。岡崎体育「MUSIC VIDEO」のように”あるある”なら簡単に書けるのですが、作り方を体系化するのはかなり難易度が高いでしょうね。

でもいつかは挑戦してみたいと思ってました。

まず最初は僕が経験してきたミュージックビデオのワークフローで、おおまかにMVができるまでの流れがわかるかなーと思い書いてみます。

興味のある方は是非読んでみて下さい。

それではミュージックビデオがどのように発注され、映像監督がどんなワークフローで作っているのか説明しましょう。

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①ある日スケジュールのアポイントメントが来る!

「〇〇のMVで相談があるのですが。」「◯月◯日で撮影をお願いしたいのですが空いてますか?」「納期はリリース(発売日)が◯月◯日なので〇〇です。」こんなやり取りが通常だ。なかにはもっとザクッとした感じで聞かれる場合もあります。(笑)

このように通常はレコード会社からスケジュールの確認連絡が入りますが、時にはアーティストのマネージメント事務所から直接連絡があることもあります。何本も一緒に作ってきてるアーティストなどは後者が多いです。

企画コンペ(他の監督との競合)の場合もあるので確認しましょう。

スケジュールが空いていれば即答でOKを出しますが、他の仕事とブッキングしそうな場合は別候補日もその場で聞いておいた方がいいです。

ここからは制作会社と連携してスケジュール調整が必要になってきます。

②初打合せ(オリエンテーション)へ行く

指定された場所(レコード会社が多いが、たまにアーティスト事務所やアーティスト本人の家もある)に行って担当者(レコード会社の音楽ディレクターや宣伝担当、マネージメント事務所の担当など)と初打合せ(初顔合わせも多い)をします。

打合せ内容はアーティストの近況や楽曲、歌詞、メインビジュアル(CDジャケットイメージなど)、過去の映像資料などを提示され説明を受けます。スケジュールや予算(企画内容によっては多少変更有り)の提示も受けることもあります。

忙しいアーティストは撮影の時間制限などの条件も伝えられます。映像のコンセプトについて具体的な話が出る場合もありますが、それをも含めて全て映像監督に任される場合が多い。

たまにアーティスト自らが出席してイメージ(具体的な映像や写真など)や表現したいこと(どんな撮影をやりたいか)を伝えてくれる場合もあります。そんな時はラッキーなので、より具体的に企画を立てるためにできるだけ詳細にディスカッションすることを薦めます。この場合、大体企画の80%はその場ででき上がってしまうことが多いです。

その後、企画提案日のスケジュールを決めて資料を受け取り帰ります。

③企画作業に入る

およそ一週間くらいの時間をもらい、打合せ時に伝えられた様々な条件を頭に入れながら、企画作業に入ります。映像監督にとって妄想と想像を駆使して作業する一番楽しい時間です。

提案用の企画コンテ(簡単な絵で表現するもの)やイメージ写真をコラージュしたイメージボードなど企画内容を的確に伝えるための資料を作ります。

企画中

竹石流のミュージックビデオのクリエイティブ(具体的な企画方法や撮影、演出、編集方法)についてはここでは書ききれないので別途ミュージックビデオの作り方(クリエイティブ編)で詳細に書きます。

④企画提案する

企画作業で作成した企画コンテやイメージボードでレコード会社担当やアーティストのマネージメント(またはアーティスト本人)へ企画を提案します。そこで新たに出た要望を叶えられるかどうかもディスカッションします。

1案決め打ちで企画提案することもありますが、2〜3案持って行って方向性を話し合う場合もあります。この時点で企画を却下された場合は発注を見送られる確率が高くなるので本企画の面白さをきちんと説明しましょう。

企画内容によっては予算の話も出る場合があるので、事前にプロデューサーと話し合っておくことが必要です。

最悪、企画再提出(スケジュールが許せば)もあることを想定しておいて下さい。

⑤発注決定の連絡が入る!

発注決定の嬉しい連絡が来ます。競合があった場合は採用された理由、落ちた理由が伝えられるハズです。

ここから実制作が始まるのでプロデューサーや制作と細かなコミュニケーションを取り、より良い現場環境を作れるように頑張りましょう。

⑥具体的な撮影プランを練る

予算や時間を頭に入れながら自らの企画の撮影プランを練る作業に入ります。

絵コンテ(演出コンテ)などの制作作業はここで行います。スタッフを誰にお願いするかなどのキャスティングもこのプロセスで考えることが多いです。

ここは映像監督にとって力の見せ所です。

⑦アーティストとのイメージのすり合わせ

アーティストの場合、スタイリストやヘアメイクは指定されること(専属の方)が多いので、従来のアーティストイメージと作品が目指すイメージのすり合わせが必要となってきます。とても大切な作業なので遠慮せず作品イメージをきちんと伝えましょう。

⑧衣装フィッティングをします

事前にアーティストとの衣装フィッティング(試着)やヘアメイクチェックを行います。

その場を借りてアーティストとディスカッションしながら、映像イメージの再確認をする場合もあるので、追加資料(映像や写真、演出コンテなど)があれば用意しておきましょう。

フィッティング

⑨オールスタッフ(作品に関わる全てのスタッフとの打合せ)

オールスタッフミーティングの略でみんなオールスタッフって呼んでいます。

制作会社と連携して決定したスタッフ(プロデューサー、制作、カメラマン、照明技師、美術デザイナー、CGディレクター、編集スタッフなど)との打合せが行われます。

各セクションへイメージや内容を絵コンテなどで的確に伝え、企画内容を実現するために、優秀なスタッフのアイディアを聞きながらディスカッションします。(時間短縮のため事前に美術デザイナーへのデザイン発注を行い、オールスタッフ時にセットデザインに対しての撮影プランを話し合うこともあります)

同時にCGやカメラ機材、照明機材などの発注も行われることが多いです。

オールスタッフ

⑩クリエイティブチェック

オールスタッフの数日後、各スタッフへの発注したクリエイティブ(CGや美術デザイン、テスト撮影データなど)の確認資料が上がってくるのでチェックして的確に修正箇所を伝える。クライアント(アーティストなど)へのチェックも行い意見をもらうこともあります。

⑪ロケハンに行きます

撮影で使用するロケーションをハンティングすることを略語で呼んでいます。

制作、撮影スタッフで実際に野外ロケーションへ行き、作品のイメージやアングル、撮影条件などを事前に確認をします。時間の節約を兼ねてその後にオールスタッフやる場合もあります。

ロケーションコーディネーター(事前に企画に合ったロケーション候補地を探し出し、撮影現場では制作と連携して撮影現場を管理します)がいる場合、撮影条件などを詳細に確認してスタッフと共有しましよう。

撮影スタジオの場合は美術デザインの設計図を元に、野外ロケーションの場合と同じく制作の段取りや撮影アングル、照明プランなどを具体的に詰めることが多いです。

⑫いよいよ撮影本番だ!

撮影現場

いよいよ撮影に入ります。演出はもちろんのこと、撮影の段取りやアーティストとのセッション、スタッフとのコミュニケーションなどたくさんに気を配りながら求めているシーンを撮影していきます。映像監督にとってフルスロットルな一日です。(作品によっては複数日撮影することもあります)

撮影後は撮影素材をスタッフに大切に管理してもらいます。

⑬オフライン編集へ

撮影素材を低画質データで(軽い)ラフ編集します。色々な演出的トライや表現の可能性を広げる作業も行います。最近はAdobe Premiere Proで自ら編集しますが、僕の場合は修正も含めてだいたい2日あれば終了します。

クライアントへのチェックを行い修正箇所が出たら迅速に対応します。

オフライン2

⑭カラーグレイディング(画質・色彩調整)

カメラマンと共に作品の狙いであるトーン(映像の画質や色彩)を作り上げます。編集スタジオで行うことが多いが、カメラマンが自宅で作業する場合はリモートでチェックすることもある。作品性を大きく左右する大切な作業だ。

⑮本編集で最終仕上げ

ラフ編集データを元に最終編集を行います。CG素材との合成やレタッチ(修正)、各カットの微調整をポストプロダクション(編集スタジオ)などで編集マンの力を借りて最終仕上げをする。音の最終仕上げ( MA作業という)もここで行う。

クライアントに最終チェックをしていただきOKをもらいます。

⑯無事納品します

昔はビデオテープ納品でしたが現在はデータ納品です。進化したものです。

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以上がミュージックビデオ制作のワークフローです。日夜、様々な映像監督たちがこのプロセスで作品を作っていると思われます。

前述しましたが竹石流のミュージックビデオの作り方(クリエイティブ編)はこれから詳しく掘り下げて書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

ありがとうございました。