映像監督 竹石 渉

「映像道の歩き方」

2020年に起こったコロナ禍の所為であらためて自分の人生をボーと自問自答しながら振り返る時間があり、『そういえば30年以上もお世話になっている映像業界に作品以外では何も残せてないな。』と考えてた。

実は今まで僕の豊富な経験を誰かに伝える機会があまりなかった。(日々の制作仕事に追われていた為お断りしていた)でも今ならこのコロナ禍で出来た時間とこのnoteという存在を知って何かできるかもと思った。画像や動画も取り込めるし、情報のリンクも貼れる。そして何よりも本当に興味のある人にだけ届けることができる。

詳しくは後述するが僕は自分の仕事を「映像道」と名付けている。僕がこの場を使ってその道の歩き方を独自解説することで、映像業界に興味を持っている人の何かのヒントにならないかなと思った。

映像業界の話になると専門的になりがちになるところをなるべく分かりやすく書いていくつもりなので業界リテラシーの高い人はつまらないかもしれないけど。

ま、とりあえず事実に基づいたエピソードの数々を僕なりの視点で書いてみよう。まずは簡単なプロフィール的なところから。

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社デレ

映像制作会社勤務時代はプロダクションディレクター(映像業界では社デレって呼ばれる)として様々な仕事を演出した。工業機械の会社の紹介ビデオやマクドナルドのクルー用教育ビデオ(てりやきマックバーガーだったかな)地方銀行のCMだったり、リクルートの就職活動用ビデオだったり、イカ天出身バンドのミュージックビデオだったり徳永英明さんのライブビデオだったり。企画だけの仕事も含めて社デレとして様々なジャンルの仕事で鍛えられた。
(どのようにして映像ディレクターになれたかは後日詳しく書く予定)

1991年独立

円満退社で独立してからは社デレ時代の後半に増えていた「音楽系の映像仕事」が加速する。前社での作品『壊れかけのRadio』からお世話になっていた徳永英明さんのミュージックビデオからライブビデオやステージ映像、SOFT BALLETのライブビデオ『TOUOR 1991 有明コロシアム』やステージ映像、TUBUのライブビデオ「LIVE AROUND SPECIAL STADIUM TOUR '92'」、WANDS『もっと強く抱きしめたなら』ミュージックビデオなど様々なジャンルの「音楽系の映像仕事」に明け暮れていた。

フィルム撮影

それまでは時々フィルム(35mmや16mmのフィルムカメラを使用する高コストな撮影方法)での作品を作っていたが新興レコード会社avexと出会いでフィルム作品が増えていく事になる。

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『ウチのスポットCM(ミュージックビデオから切り出した告知CM)は他のCMと比べてどうして汚いの?』「CMと同じワークフローでミュージックビデオを作れば解決しますよ。コストは掛かりますけど。」『じゃあそれで作って。』この簡単な会話から全ミュージックビデオをフィルム作品にしていく方針に決まった。そのお陰でフィルムが僕の作品に与えてくれた輝きは図り知れない。
(フィルム撮影の素晴らしさや演出方法、ワークフローやデジタルに受け継がれたモノについては今後詳しく解説する予定)

その後迎える音楽業界全体の隆盛期が後押しして、他のレコード会社のミュージックビデオもフィルム作品制作を追随していくことになる。

音楽業界隆盛期

avexアーティストでは主にデビューする新人達のミュージックビデオが担当だった。Every Little Thingはデビューシングル『Feel My Heart』から『愛のかけら』まで、浜崎あゆみはデビューシングルから27曲、他に野猿、DA PUMPやhitomi、BoA、MAX、安室奈美恵、東方神起など。とにかくCDリリースラッシュでavexアーティストだけで1ヶ月5-6タイトル位作っていた。他のレコード会社アーティストでは宇多田ヒカル、L'Arc~en~Ciel、DREAMS COME TRUE、SPEED、槇原敬之、モーニング娘。、松浦亜弥、竹内まりや、山下達郎、THE ALFEE、KinKi Kids、V6など。まだまだ挙げきれない程のアーテスト達とミュージックビデオを作り、多い時は年間約100タイトルの作品を世に出した。音楽業界は隆盛期でヒットCDは100万枚超えは当たり前、200万枚300万枚を売るアーティストもいた。それによりミュージックビデオにかける予算も大きく企画も撮影方法もダイナミズムの頂点だった。

怒涛の映像道で出会ったアーティスト達との数々の素敵なエピソードや作品解説、ミュージックビデオの作り方、演出方法は今後詳しく書いていきたいと思う。

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CM業界へ

今ではそんなことは無くなったが、以前はミュージックビデオを作るディレクターがCMを撮ることは少なかった。当時のCM業界は独特な閉鎖感があり、CMは広告畑で育ってきたディレクターが撮るものと決まっていた。ところが音楽業界の隆盛期もありアーティスト達がCM出演することが増え、ミュージックビデオも世の中への露出が増えていた。実際のところミュージックビデオの映像表現は映像実験場であり、表現自由があるためCMよりも斬新さやクオリティが数歩前を走っていた。そこでやっとミュージックビデオディレクターがCMに起用され始めたのだ。様々な商品、様々なタレント、様々な企画、様々なクライアント、怒涛のCM演出の仕事が始まる。

映像道で出会ったCM演出の数々のエピソードは今後詳しく書く予定。

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VRとか

最近ではVRの仕事も増えてきている。VRは映像というフレームの中での演出ではなく、映像体験をどれだけ上手く演出できるかが求められる。時代がテクノロジーと共によりリアルなフィクションを求めているからだと思う。手掛けた作品はUSJの「エヴァンゲリオンXRライド」や宇多田ヒカル「PLAYSTATION VR」、GOT7「LOVE LOOP VR」、富士急ハイランド「EVANGELION THE FLIGHT」『いきものがかり Volumetric LIVE ~生きる~』など。VR映像の作り方や演出方法の詳しくは後述します。

今後の予定

僕がどうやって映像道を歩いてきたのかを出会った様々なジャンルの映像作品を通して、できるだけ分かりやすく解説していく予定です。

今後書いていく内容は [ 映像監督になるには、映像道の心得、各作品のエピソード、撮影現場論、編集論、企画論、情報取得論、キャストとのエピソード、レンズ選択の意味、カメラワーク論、照明論、ルックの作り方、アーティストを撮る方法、女の子を撮る方法、コンサート撮影方法、CGアニメーション制作における注意点、オーディションについて、被写体配置論、音楽との関係性、コンテの描き方、フィルムからデジタルへ、ロケーション選定方法、映像演出家のフロー など 順不同 ]などを考えてます。もちろんできるだけ質問や要望にも答えていくので映像道で知りたい内容があればお願いします。これらを深掘りしていくとで壮大な作品になる予感…。んーちょっと硬いかな。まあまあ…慣れていくだろう。

これを機会にあなたが映像作品に触れた時、その裏側にある世界や作品を作ることに興味を持ってもらえることで「人生という作品」の何かヒントになれば嬉しいです。